絵筆が癒やす伴侶の死 震災乗り越え、脳性まひの女性が個展(産経新聞)

 絵筆が、伴侶(はんりょ)を失った悲しみを癒やしてくれた。阪神大震災で自身と同じ脳性まひの障害を抱える夫を亡くした岡和子さん(46)=兵庫県西宮市=は絵との出合いを通じ、少しずつ新たな人生を歩み始めた。不自由な手を意識してしまうから、嫌いだったはずの絵。それが今は、自分の個性だと受け入れることができるようになった。「絵は生きがい。主人が守ってくれた命を大切に、これからも描き続けたい」。4月には自身2度目の個展を開く予定だ。

 岡さんは出産時の事故が原因で脳性まひになり、手足に重い障害が残った。昭和60年に勤務先の福祉作業所で同じ障害を持つ博さんと知り合い、結婚した。

 幸せな生活を奪ったのは、平成7年1月の震災。住んでいた同県芦屋市のアパートが全壊し、35歳の若さで博さんが亡くなった。

 「どうしてあの人だけが」。失意の岡さんに10年ほど前、友人がなにげなくすすめたのが絵画だった。

 「絵を描くのは、もともとは好きじゃなかったんです」。美術の授業では画用紙に向かうたび、否応なしに障害を意識させられた。それが、絵画教室の先生は自由に描くようにすすめてくれた。「絵というものは、障害者でも健常者でも、その人にしかない個性を出しながら描くもの。だから素晴らしいんです」。

 19年11月に開いた初めての個展で、絵を見た人から多くのメッセージが寄せられたことも励ましになった。なにより絵筆を握っていると、辛い記憶を徐々に忘れていくことができた。

 身の回りのものや風景を伸びやかに描いた線を、水彩絵の具の淡い色彩が彩る。4月に西宮市で開く個展ではこうした水彩画だけでなく、新たに始めたアクリル画も展示するという。「震災のときに主人が私を守ってくれたから、今の人生があるような気がしてならない。あの人のおかげです」。博さんの遺影を見つめながら、笑みを浮かべた。

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